ヴェロネーゼ鑑賞のコツ

ヴェネツィア派の画家、ヴェロネーゼの絵を見るにあたって、その代表作3点を選び、鑑賞のコツをお伝えしていこう。

カナの婚宴

まずは言わずと知れたこの作品。あの世界に冠たるルーブル美術館の中でも一番大きな作品なのだ。なにせ666㎝×990㎝もあるのである。なぜこんなに大きいのだろうか・・・この絵の中には100人以上の人間がひしめいているのだが、一番手前の人物は画面の縦の長さのだいたい3分の一から4分の一くらいである。つまり原寸大なのだ。この絵を見る人は、画面の向こうに本当にこうした情景が広がっているかのように錯覚するわけだ。この絵はヴェネツィアのサンジョルジョ・マッジョーレ修道院の食堂に飾られていたという。うらやましい・・・この修道院で食事を摂る人たちは、あたかも画中で瓶の水をワインに変えたキリストとともに食事をしているように感じていたであろう。

ちなみにもう一つの疑問。なぜヴェネツィアの修道院の絵がフランスにあるのだろうか・・・あのナポレオンが持ってきたのだ。すごいな。それまで漆喰の壁や板に描いていたのが、キャンバスに絵を描くようになって、格段に運搬が容易になったのだ。それにしても、いくら木枠を外して丸めたとしても、6メートルを超える巨大なロールである。権力というのはスゴイな・・・

レヴィ家の饗宴

こちらはアカデミア美術館にある。こちらは555㎝×1280㎝で、「カナの婚宴」に負けず劣らずの大画面である。描かれたのは1573年、「カナの婚宴」の10年後である。この絵もサンティジョバン二・エ・パオ修道院の食堂を飾るものだった。テーマは「最後の晩餐」である。なるほど、中央にいるのはキリストである。だが、言われなければうっかり見落としてしまいそうなくらい、この絵の主役は、じつは婚宴に興じる世俗的な人物群なのだ。だからこそ、逆にわれわれの棲む世俗の世界のどこかにキリストがいるのではないかという錯覚を起こさせてくれるものでもある。

ちなもにヴェロネーゼはこの絵について宗教裁判所から喚問を受け、あやうく異端の烙印を押されるところであった。それでこの絵の題名は「最後の晩餐」から「レヴィ家の饗宴」へと変えられている。

ヴィッラ・バルバロ

ヴェネツィア絵画におけるヴェロネーゼの地位を不動のものにした、いわばヴェロネーゼの出世作である。

改めて見ると、そのだまし絵的な効果もさることながら、その「明るさ」に圧倒される。そう、プライヴェートな時間はやっぱり明るく、ハッピーでなくっちゃ・・・週末、こんなステキな館で過ごせたらウィークデイの疲れも吹っ飛ぶというものである。「典雅」とか「華麗」とかいう言葉はまさにヴェロネーゼのためにあるようなものだ。

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