ブロンズィーノの生涯と作品

マニエリスムの画家にはまだまだステキな人がいる。アーニョロ・ブロンズィーノがその人である。ブロンズィーノを知らないあなたのために、ブロンズィーノはどんな人なのか、どんな作品を描いていて、それはどこで見られるのかをお伝えしよう。

生涯

アーニョロ・ブロンズィーノは1503年、フィレンツェ近郊のモンティチェリというところで生まれた。本名はアーニョロ・デ・コジモ・デ・マリアーノ・トーリという。ブロンズィーノとはあだ名で、肌がブロンズのような色をしていたことからこう呼ばれたという。

貧しい家庭に生まれた彼は、幼いころから美術工房に徒弟に出される。当時、画家も職人であったから、10代に入るか入らない内から修業を始めるのは珍しいことではなかった。いくつかの工房を回ったのち、11歳の時に九つ上のポントルモの工房に入る。

制作態度は謹厳実直、性格は温厚篤実だったブロンズィーノはポントルモに愛され、のちに養子となり後継者となる。ポントルモの代表作「サンタフェリチタ教会カッポーニ礼拝堂」の制作などに協作者として関わったが、36歳の時にコジモ1世に抜擢されて宮廷画家となる。

ここで描かれた肖像画が評判を呼び、注文が殺到するようになる。30代、40代はこれらの注文に忙殺されたようだ。宮廷画家の第一人者となり、あのヴァザーリとも交友があったという。画家としては申し分のない、恵まれた人生だったといえる。60歳でコジモ1世が創設した美術アカデミーの会員となり、最後には会長に上り詰めた。60歳で亡くなった彼の葬儀にはフィレンツェの画家のほとんどが参列したという。

ルクレツィア・パンチャティキの肖像

さて、では作品を見ていこう。わたしの一番のオススメはフィレンツェはウフィツィ美術館にあるこの作品である。1541年、ブロンズィーノがまだ30代の頃の作品である。とにかくこの能面のような表情を見よ・・・これはブロンズィーノの肖像画に特徴的なもので、ゆえに彼は「仮面の肖像画家」と呼ばれる。現代のわれわれとは違って、この取り澄ましたような表情が、公式的な、高貴な雰囲気を表しているとしてもてはやされたのである。

衣装のカーマインの鮮やかさ、宝飾品の精緻な描写、そして両手の表情・・・見事というほかない。

エレオノーラ・デ・トレドの肖像

この絵もだいたい同じ頃に描かれた。プラハ国立美術館にある。頬にうっすらとさした紅、必要以上に白い肌、そして冷たい目・・・これは現代でも立派に通用するある種のタイプである。たまらない人にはたまらないだろうな・・・

ロドヴィコ・カッポーニの肖像

これはもう少し後、ブロンズィーノ50代の作である。ニューヨーク、フリック・コレクションにある。美少年である!こういう絵を見ると少年が美しいということがごく自然に納得できるな・・・背景の緑も鮮烈である。

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