ルノワールの作品について

モネと並んで印象派の代名詞ともいえるオーギュスト・ルノワールの代表的な作品について述べていこう。印象派、中でもルノワールは日本人にとても人気がある。それゆえ、ちょっとでも美術をかじった人間なら、かえってルノワールと聞くと敬遠しがちである。だが、古今東西に渡る美術鑑賞を数十年も続けていると、やはりルノワールは良いのである。では、ルノワールのどんな作品の、どこが良いのだろうか・・・それを述べていこう。

パリ:ポン・ヌフ

まずは初期の絵画、しかも風景画からいこう。この絵はワシントン・ナショナル・ギャラリーが持っている。1872年作。ルノワールは1841年生まれなので、このとき31歳である。素晴らしい・・・肉体も感覚も若くないと描けないであろう、じつに瑞々しい表現である。

時期はおそらく春から初夏にかけて。空が素晴らしく青くて広い。どこまでも広がっていけそうな空である。そんな空に覆われたパリの町は、セーヌ川の川面を渡ってくる薫風にむせ返るほどである。つくづく不思議なのだが、140年も前の、しかも外国の風景になぜ我々はこうもシンパシーを感じてしまうのだろうか・・・それはひとえに絵画の魔力なのである。

さあ、まずは空の雲の表現を見ていただきたい。遠くから頭上にまで無数の雲が描かれているが、ひとつひとつがじつに表情豊かに、異なるタッチで描かれているではないか。ヨーロッパの乾いた雲はこんな風である。また、橋や建物の暗部に使われている青や緑の絵の具・・・天空の明るさをそのまま地上に降ろしたかのようである。そして、橋の上をそぞろ歩くひとびとの楽しげなこと・・・

ルノアールはこの絵を描くためにルーブル河岸の角のカフェ(3Fだったといわれる)に陣取ってはその上を行く人をスケッチしていたそうである。なるほど、人物一人一人のタッチがじつに生き生きとしている。

草の中を上る道

こちらは1876年作。先の「パリ:ポン・ヌフ」から4年がたっているが、やはりルノワール初期の作といってよいであろう。こちらは本家本元のオルセー美術館にある。

「眼福」という言葉はこの絵のためにあるのではないだろうか。画面の8割方を占める草むら・・・これもやはり春から初夏にかけてなのだろう。草いきれに、息もままならないほどである・・・黄や緑、白や赤といった色彩の競乱にまさに当然となってしまうな。画面の中をどんな色が、どんなふうに滑って行って混ざり合っているのかを見てほしい。

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