ピサロの作品

印象派の画家、カミーユ・ピサロの作品を紹介しよう。マネやモネ、ルノアールやセザンヌといったビッグネームに比べて知名度はちと劣るものの、じつに・・・じつに良い絵があるのだ。今回はそれらの中から3点を紹介しよう。

ポン・ヌフ

1902年というからピサロ72歳。最晩年の作である。うれしいことに日本にあるのだ。ひろしま美術館が持っている。66×81.2㎝ということはF25号くらいである。ちょっとした戸建ての居間にはちょうど良い大きさだ。

筆の穂先でちょこちょこと描かれた馬や人街灯や街路樹がすごく楽しい。そのちょこちょこと動かす塩梅・・・絵の具の混ざり具合が絶妙である。こういう絵は年を取ってからでないと描けない嘘だと思うならあなたもやってみるとよいだろう。

建物がひん曲がっていたり、遠近法的につじつまの合わないところもあるが、そんなことはどうでもよいくらい見ていて気持ちの良い絵である。

雪の大通り

1879年.ピサロ49歳の時の作品である。パリ、ブーローニュの森に隣接しているマルモッタン美術館が持っている。ちなみにこのマルモッタン美術館はモネの「印象・日の出」を持っていることで有名だ。この絵は2Fの円形サロンにある。

1879年というと、第4回印象派展が開かれた年だが、この回あたりからセザンヌやルノアールが出品しなくなる。セザンヌといえば、ピサロは一回り近く年下のこの内気な画家を可愛がり、ポントワーズというところで二人並んでイーゼルに向かったりしたのだ。第一回の印象派展にセザンヌを誘ったのもピサロである。そのセザンヌが去っていく。同じ頃からモネやルノアールの絵は売れ始める。ピサロの絵は売れない。

そんなころのパリの雪景色だが、そうした内面の葛藤は微塵も感じさせない楽しい絵である。油絵というのは絵の具が乾くまでに時間がかかる。絵の具や層の厚みにもにもよるだろうが、たいてい2週間ほどはかかる。だから、普通に書き進めていくと必ず絵の具同士が混ざるのだ。それを嫌う人もいるが、ピサロはもう、それを存分に楽しんでいるのだ。雪の白、木の枝の茶が混ざっていく様子をとくとご覧あれ。ピサロの楽しみを追体験できるだろう。

パリのテアトル・フランセ広場

ミネアポリス美術研究所というところが持っている。1898年作。この時ピサロは68歳になっている。この絵はピサロの部屋から見た風景を描いたという。雨に濡れそぼったパリの石畳・・・通りのはるか彼方から無数の馬車がやってくる・・・噴水の周りにたむろしているのはテアトル、つまり劇場の開演を待っている人たちであろうか・・・馬のひづめの音、人々の話し声が聞こえてきそうである。

ピサロの絵はアメリカで評価が高まり、カーネギー財団が「ルーアンの大橋」を購入するのは1900年のことだ。だが、ピサロの筆先は、そんなことなどどこ吹く風。あくまで無邪気で楽しい。

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