ダヴィッドのイチオシ作品

 

新古典主義の代表的画家、ジャック・ルイ・ダヴィッドのイチオシ作品を紹介しよう。

ナポレオンの戴冠式

誰が何と言おうとまずはこれであろう。正式名称は「1804年12月2日、パリ、ノートルダムにおける皇帝ナポレオン1世ならびに皇后ジョゼフィーヌの戴冠式」。なんといっても630㎝×931㎝というその大画面と、画中の人物が身にまとうきらびやかな衣装の描写が圧倒的だ。制作に3年を要したというが、なるほど、無理もない。

わたしが注目したいのは、これだけの緻密な描写をして、なおかつ画中の人物をノートルダム大聖堂の中のしかるべき場所に収めてしまうダヴィッドの技量である。バルールに関してよほどのセンスがないとこうはいかない。

また、皇后ジョゼフィーヌのうなじが何とも美しい。ジョゼフィーヌの肖像はいくつか残されているが、これがもっとも美しいとわたしは思う。このときジョゼフィーヌ41歳。フランス人の美意識にはいくつか特筆に値するものがあるが、わけても「成熟」を女性の美しさのひとつに数え上げたことは素晴らしい。

セリジア夫人とその男児の肖像

1795年作、ルーブル美術館所蔵の名品である。とにかくセリジア夫人が身にまとう白い衣装の清潔さはどうだ・・・白の中にこれだけの諧調があることは信じられないくらいである。この白の中に埋没していくうちにいつしかわれわれはセリジア夫人の豊かな肢体へと導かれていくのだ。うーん、セリジア夫人も成熟しているな・・・

ダヴィッド夫人

こちらは1813年作。ワシントン・ナショナルギャラリーが持っている。画家がその妻を描いたものはいくつか知られている。ルーベンス、レンブラント、マネ・・・などなど。これはそれらの中でも5本の指に入るであろう。

ダヴィッド夫人は名をシャルロットといい、高名な建築家の娘であった。だが、フランス革命が勃発し、政治に走る夫について行けず、ダヴィッドがルイ16世の処刑に賛成票を投じるに及んでついに夫のもとを去る。やがてロベスピエールが失脚。ダヴィッドは投獄され、あわやギロチン台送りかと思われた・・・そこで釈放に奔走したのは別れた妻シャルロットだった。

肖像画が描かれたとき、ダヴィッド65歳。二人が結婚してから30年以上の月日が経っている。結婚30年目にしてこんな絵が描けるような夫婦でありたいものである。

レカミエ夫人

1800年作、ルーブル美術館所蔵。当時パリで社交界の花だったレカミエ夫人を描いたものだが、夫人が気に入らなかったため、未完のままで残された。いったいどこが気に入らなかったのだろう。夫人はさながらギリシア彫刻のような端正な顔立ちに描かれており、女性像でありながら、青年のようにも見え、なかなかにいけていると思うのだが・・・ちなみに彼女はわたしの中学校の頃の音楽の先生にそっくりである。これはどうでもいいか。

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