若冲を愛するひとたち

若冲を愛する人はじつはいろいろなところにいる。え、こんなところに?というところにスゴイものがあったりするのである。というわけで、今回は「若冲を愛するひとたち」である。

プライスコレクション

何といってもトップバッターはプライスコレクションである。集めているのはジョー・プライス氏、アメリカ人である。

プライス氏は父上の友人に、あのフランク・ロイド・ライト氏がおり、あるときライト氏のお供でニューヨークの古美術店を訪れたという。1950年代のことである。フランク・ロイド・ライトとは、あの邸宅の下を川が流れる有名な「落水荘」を設計した建築家である。その古美術店でプライス氏はとても美しい葡萄の絵を目にした。それは水墨画であり、プライス氏はこの絵から目が離せなくなり、すぐさま購入を決意したという。

これがきっかけで氏は日本の古美術を精力的に蒐集することになる。実際に日本を訪れ、通訳であり、のちに奥方となる悦子夫人ともここで出会う。氏がすばらしいのは、氏が名前ではなく、本当に美しいと思い、気に入った作品を購入しているところである。有名な話だが、先の「葡萄図」にしても若冲作であることはかなりあとになってから知ったという。

プライスコレクションにはこの「葡萄図」のほか、若冲が徹底的に墨を遊びつくしたともいえる「花鳥人物図屏風」、若冲のほかには描いた人がいるとは見たことも聞いたこともない「象と鯨図屏風」などがある。

鹿苑寺

なんと、あの金閣で有名な鹿苑寺の大書院にも若冲作品はあるのだ。鹿苑寺は相国寺に属し、若冲は相国寺の住職と懇意だったためである。それにしてもあの鹿苑寺である。よほど画力において確かな信頼がなければ描かせてもらえるものではない。

信頼通り、若冲は素晴らしい障壁画を描いた。「葡萄図」は思い切って中央にあけた間がじつに美しい・・・「竹図襖」は思い切ってデフォルメした竹の幹がユニークだし、竹の葉も装飾的で楽しい。

金刀比羅宮

あの金比羅さんにも若冲はある。このひとの精力はすごいな・・・金刀比羅宮には円山応挙や明治の画家、高橋由一の作品もある。若冲の作品は「花卉図襖」で奥書院にある。金地に様々な草花が規則正しく配され、それぞれがじつに精緻に、そして鮮やかに描かれている。2007年に東京藝術大学の大学美術館で開かれた「金比羅宮 書院の美」という展覧会で、夜、灯りに照らし出された本図の写真が展示されていたが、じつに幽玄で妖しく、そして美しかった。

細見美術館

京都にあるこの美術館も若冲の良いものを集めている。実業家、細見良氏をはじめ、細見家の方々が数台にわたって集められたコレクションである。どれも素晴らしいが、やはり「糸瓜群中図」であろう。素直に、丁寧に描かれた、見ていて清々しい気持ちになる一枚だ。伊勢長浜藩主の愛憎品だったもので、なんとあの富岡鉄斎もこの絵の模写をしている。ちなみに箱書きも鉄斎とのことである。

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