「白磁の誕生と展開」展を見るコツ

 東京国立博物館、東洋館第5室で開かれている「白磁の誕生と展開」展を見るコツをお伝えしよう。コツは次の三つを知ることである。第一に磁器とは何か、第二に白磁と青磁について、第三に白磁の逸品とは何か、である。では順を追って説明しよう。

磁器とは何か

あの加藤藤九郎氏が分かりやすく説明している。

まず、焼き物は土または石を焼いて固めたもので、土を焼いて固めたものが陶器、石を焼いて固めたものを磁気といっている。石というのは長石のことで、別名カオリンという。中国の景徳鎮のそばにカオリン(高嶺)山という山があり、ここで長石でできた良い土が採れたことから、土そのものをカオリンと呼ぶようになったという。ちなみに日本で最初の磁器が作られた有田のそばには、陶工李参平が発見した泉山がある。

陶器は焼きあがった後は不透明だが、磁器は半透明であり、明るい方に器体をかざして見れば、透けて見える。磁器を焼くには1300℃以上の高温が必要であり、磁器の誕生には焼き窯の進歩を待つ必要があった。

白磁と青磁について

6世紀、中国北方に誕生したのが白磁で、南方で誕生したのが青磁である。どちらも白い磁土に透明釉を掛けるが、釉中の鉄分が還元炎といって、酸素の少ない焼き方をすると青白く変色したものが青磁という。

宋・元代になると、磁器の制作技術は飛躍的な発展を遂げた。

白磁は、河北の定窯、江西の景徳鎮がその中心であった。定窯の釉色は象牙のような白で、「涙痕」という、独特の釉の流れた跡が景色となっている。景徳鎮の釉色は青白で、釉の溜まりは湖のような神秘的な表情を作っている。

一方、青磁は河南の汝窯、浙江の龍泉窯が有名で、釉色は前者が雨上がりの空の色、後者が梅の実のような趣のある青を特徴とした。

白磁の逸品とは

こと、焼き物について、トップクラスのものは中国のものといってよく、中でも故宮博物院の持っているものがピカイチである。

白磁劃花龍耳方壺 宋代 定窯

劃花とは線刻のことである。高さわずか38㎝の壺一面に蓮や竜の文様がじつに繊細に彫られている。いったい中国人の作るものは焼き物といい、絵画といい、じつに緻密で堅牢である。感覚としてはわれわれ日本人よりもヨーロッパ人の方に近いのではないか。

方壷とは中国古代に作られた青銅製の壺である。中国人はまた、古いものを貴ぶ人たちでもある。ただ、この宋代に模した方壷は深みのある象牙色でじつにうつくしい。

白磁印花牡丹百析盤 金 定窯

印花とは、型押しのこと。盤一面にびっしりと施されたボタンの文様が素晴らしい。凹面にたまった釉色の玄妙なこと・・・金の皇帝はこの盤にいったい何を載せて楽しんだのだろう。うらやましい限りである。

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