フィリップス・コレクション展を見るコツ

三菱一号館美術館で開かれている「フィリップス・コレクション展」を見るコツをお伝えしよう。そのため、まず、フィリップス・コレクションとはどういったものかについて述べ、つぎに、その中でなにがピカイチなのかを述べることにする。

そうしたわけで、今回はフィリップス・コレクションのいわれについて述べる。

ダンカン・フィリップス

読んで字のごとく、フィリップスさんが集めた芸術品の数々である。フィリップスさんはダンカン・フィリップスという。アメリカ人である。1886年、鉄鋼業で財を成したメイジャー・フィリップスの次男としてピッツバーグに生まれた。やがてワシントンに移ったダンカンは名門イェール大学を卒業。絵画研究を手掛け、美術評論に携わった。そして第一次大戦に伴うアメリカの好景気を背景に、美術品収集を進める。ちなみに奥さんのマージョリーも女流画家だった。1921年、「フィリップス・メモリアル・アート・ギャラリー」を一般公開した。なんと、これはアメリカにおける初の近代美術館であった。

ダンカンの審美眼は確かだったようだ。1923年、訪れたパリのデュラン・リュエル画廊でルノアールの「舟遊びの昼食」を即決で買い取ったという。その後はボナールを見出し、クレーを購入。ギャラリーにはマティスやガートルード・スタインが訪れたという。

ニューヨーク近代美術館の理事やワシントン・ナショナル・ギャラリーの評議員なども務めた。1966年死去。

フィリップス邸

フィリップス・コレクションはアメリカ合衆国の首都ワシントンにある。ただ、市内の喧騒から離れた瀟洒な高級住宅街にあるため、ワシントン・ユニオン駅からは地下鉄を利用しなければならない。

建物は赤レンガ作り。1897年に建てられたフィリップス家の邸宅を利用したものだという。暖炉やソファ、家具調度が置かれたシックな雰囲気の中、くつろいで絵画鑑賞に浸ることができる。そういえば、ニューヨークにあるフリック・コレクションもこんな感じだった。フリック・コレクションも鉄鋼王フリック氏の私邸を改築したもので、こちらの開館は1913年である。

理念

「観衆と絵画の間の通訳と航海士の役を務めたい」というのがダンカン・フィリップスの夢であったという。「家庭的な雰囲気のある美術館にする」よう心掛けたのもそのためだったといえる。1922年に撮影されたダンカンとマージョリーの写真がある。壁に掛けられた3枚の絵・・・中央はコローで左はシャルダンであろう。それらの前でソファにくつろぐダンカン夫妻・・・この写真が示す通り、ダンカンはまさにこうした人と絵画の距離感を限りなくゼロにしようとした人だったのではないか。

1920年代末のギャラリーの写真も残されている。ルノアールの「舟遊びの昼食」が右手にかかっているが、手前に置かれたテーブルなどによって、かえってまさにそこでパリジャンたちが舟遊びを繰り広げているかのような雰囲気を醸し出している。

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