シャガールのコレがスゴイ

シャガールという人は97年もの長寿を全うした人なので、その作品数は膨大で、しかもどの作品をとっても良いものばかりである。それがかえって災いするのか、シャガールの良さに感覚が麻痺してしまい、『シャガール?ああ、こんな感じでしょ』というような反応を見せる人が結構いる。そうした人にシャガールの本当にスゴイ作品3点を紹介しよう。

メッス聖堂のステンドグラス(1962年~1964年)

シャガールとステンドグラスの取り合わせは素晴らしい。わたしは天に感謝する。ステンドグラスにしてみると、シャガールという人が天性のカラリストだということがごく自然に納得できる。

まあこの、赤や青、黄の色の染みるように美しいこと・・・これは赤や青、黄を単味で用いることによっては得られない鮮やかさである。やってみればわかる。赤なら赤の中にいかに渋い色や鈍い色、あるいは異なる色味を紛れ込ませるか・・・また、その大きさは・・・形は・・・と、じつは相当に複雑で難易度の高いものなのだ。

人物のデフォルメについても、油絵の時には今一つピンとこなかったものがステンドグラスにするとよく分かる。分かるどころか、「こう形を変えないとここはこうではありえない」というほどに、人物の形体は完成度が高い。

素敵な聖堂なのでぜひ一度訪れてみてほしい。

パリ・オペラ座の天井画(1964年)

ここにシャガールの絵を持ってくるというアンドレ・マルローの発想は素晴らしい。いったい、フランス人は文化的には冒険心に富んだ、思い切ったことをする。ポンピドゥー・センターしかり、ルーブル美術館のピラミッドしかり・・・

思い切ったことと言ったが、じっさいにシャガールの絵がはめられてみると、じつにぴったりと、これ以上は考えられないほどフィットしている。シャガールの絵は光と相性が言いようだ。それで、おびただしい数の照明器具や、それらの光を反射する金銀やガラスの装飾の中でさらに光輝くのだ。

天井画が円形だということも幸いしている。絵に天地はなく、どの方向から見ても天使や恋人たち、バレリーナやエッフェル塔が浮遊していて、絵の中でしばし陶然とさせられる。

パリにあるのだからこちらもぜひ見ておきたい。

メトロポリタン歌劇場「魔笛」の舞台・衣装デザイン・壁画(1965年)

こちらは、もはや図版でしか見ることができないが、残された写真やエスキースの類で十分に想像することができる

シャガールの絵というのは良い意味で「色面をどう汚すか」にかかっているといえる。これは作品の中でいかに見るものの視線を流さずにとどめておくかということと密接に関わってくる。舞台というのは現実世界でありながら、そこにしつらえたフィクションの世界に、いかに観客をとどめておくかが重要なのであるから、やはりシャガール作品と相性が良いのであろう。

もう50年早く生まれて、この舞台を見てみたかった!

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