マティス鑑賞のコツ=この3点から始めよう。

マティスを鑑賞するにはコツがいる。

食材に例えてみよう。なすやピーマン、ニンジンなどを苦手とする子供は多いが、おいしいナスやピーマン、ニンジンを味わう経験を通して、大人はその美味しさに気づき、食材としての偉大さを認めるようになるわけである。

マティスも同様だ。マティスは大人の味なのであって、美味しい経験を通る必要がある。そこで、今回はマティスを味わうために見ておきたい3点を紹介する。

ロザリオ礼拝堂

南仏のヴァンスというところにあり、ニースの駅から車で50分と不便なのだが、行くだけの価値はある。ここに立った時の感激をわたしは生涯忘れないだろう。

礼拝堂なので、ステンドグラスがあり、内部の白い壁には十字架の道行きの壁画がある。そもそも教会のステンドグラスというものは光を通すと、内部を神秘的な空気で満たし、見るものはその荘厳さに打たれるのであるが、ロザリオ礼拝堂はとにかく明るいのである。それもまばゆいほどに・・・やがて、その明るさに目が慣れてくると、壁の壁画が目に入ってくる。形体の単純化とは、こういうときのためにあるのだと改めて感じさせられる。崇高な絵である。

1948年~51年。なんとマティス79歳~82歳。最晩年の作品である。死の3年前にこんな作品を完成させられるマティスが、わたしは本当にうらやましい。

赤の食卓

1908年。マティス39歳の時の作である。ロシアの貿易商、シチューキンの注文で制作された。食堂を飾るための絵だったという。6年前に「大エルミタージュ展」が開かれ、エルミタージュ美術館が所蔵する本作が来日した。

実物を前にしてわたしはその大きさに圧倒されてしまった。180㎝×220㎝と、普通の公募展で見かける絵とさほど変わらない大きさなのだが、とにかく大きく見えるのである。

いったい、マティスという人は、画ができた後の額装や設置場所のことまで熟考して制作する人であったというが、よくわかる話である。この絵は、じっくり対面してみるべき絵ではなく、美味しい料理に舌鼓を打ちながら目の端で意識しているような絵である。この絵を掛けた部屋で食事がしてみたい・・・

ダンス

フィラデルフィアのバーンズ・コレクションの内部を飾っている壁画である。1933年、アメリカ人コレクター、バーンズ博士の依頼で制作された。マティス64歳の作。

バーンズコレクションはフィラデルフィアにあり、見学には予約が必要なのだが、ホームページで壁画の様子が見られるので、のぞいてみてほしい。

素晴らしい・・・ひとことでいえば、調和とはこういうことをいうのだろう。壁に掛けられた作品、屋外の風景、ドアと完全に一体となっているだけでなく、それらが単体だけの時よりさらに生き生きと、美しく見える・・・

 

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