プッサンを見る方法

 

二コラ・プッサンを見る方法についてお伝えしよう。

絵を見るのに方法などいらないと多くの人は考えているであろう。確かにそれで多くの絵は鑑賞できるのだが、中には厄介な画家もいるのだ。

二コラ・プッサンがその人である。画面は生硬で調和が取れすぎていて、どこがおもしろいのか分からない。だが、かのセザンヌが「自然に即してプッサンをやり直す」と言明するほどプッサンはフランス絵画では重要な人物なのだ。

だが、われわれは日本人なので、日本人になじみのある画家を取掛かりにしながらプッサンを見ていこう。

どんな人か

まず、プッサンの人となりについてざっとたどっておく。二コラ・プッサンは1594年、フランスはノルマンディー地方の旧家に生まれ、当時の画家としては珍しく、古典的な教養を身に着けたのち、パリに出て18歳で絵画修業を始める。パリではなかなか芽が出ずに苦労したらしい。

転機が訪れたのは28歳の時。たまたまパリを訪れていたイタリアの詩人が彼の絵を絶賛し、勧められるままにイタリアに赴く。詩人の助力で徐々に注文が来るようになり、30歳の時には、あのサンピエトロ大聖堂に絵を納めるまでになる。

有名になっても画業にはじつに勤勉に取り組んだらしい。イタリアでの名声が高まり、本国フランスから帰国の要請を受けて帰国するが、2年ほどでまたイタリアに戻る。宮仕えは向いていなかったようだ。

晩年は体調を崩してあまり仕事ができず、71歳で没。

アングル

プッサンの作品が面白みに欠けるのは、日本人にとって彼の作品は、ある意味、既視感があるためかもしれない。既視感―以前に見たような気がするものは何なのか。それは、アングルの作品である。

アングルの「ホメロス礼賛」(ルーブル美術館)を見るがよい。プッサンの「アルカディアの牧人」(1638年 ルーブル美術館)や「ソロモンの審判」(1649年 ルーブル美術館)における人物配置や色彩構成、画中を漂う視線の動き方などにそっくりである。

ただ、アングルの方が革命期を生きたこともあって、若干表現がきつくなっている。調和や均衡、画面を支配する知的な雰囲気ではプッサンの方が勝っている。

ドラクロア

ドラクロアもまた、プッサを信奉していたようである。「ピュートンを殺すアポロン」(1850年 ルーブル美術館 ギャラリー・ダポロン天井画)を見るが良い。プッサンの「ディアナとエンデュミオン」(1627年 デトロイト インスティテュート・オブ・アーツ)の色使いそっくりではないか。人物や風景が色として、画面の中で混然一体となってじつに心地が良い。ただ、時代のせいか、ドラクロアの方が熱いのだ・・・

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です