もっと中国絵画!探すとまだいるスゴイ人

 

 まだまだ中国にはスゴイ人がいる。探すとまだまだ出てくる。もっと中国絵画を味わいたい・・・そんなあなたに今日も素敵な人を紹介しよう。

 呉彬である。

どんな人

呉彬(1550-1621)はウーロン茶で有名な福建省の人である。南京に移り住み、画家としてある程度の評価は得ていたようである。のちに北京で宮廷に仕えたが、明王朝の国力はすでに衰退しており、魏忠賢という宦官が暗躍するような始末で、呉彬は彼を批判して捕らえられている。幸いなことに米万鐘という、自身も絵を描くエリート官僚が彼のパトロンになってくれ、中国各地を旅していろいろな風景を見て回り、不思議な絵を描いた。熱心な仏教信者だったようで、黄檗宗の崇福寺(長崎県)というところに彼の描いた涅槃図が残っている。

どんな画を描くのか

 不思議な絵を描くのである。画面いっぱいに岩山が描かれているのだが、それらはのたくり、捻じ曲がって見るものを圧倒する・・・なんなのだこれは・・・よくみると米点皴(べいてんしゅん)といって、ちょんちょんと墨を紙に含ませていく技法や、牛毛皴(ぎゅうもうしゅん)といって、描線が牛の毛のように絡み合う技法など、正統派中国絵画の技法は用いているのだが、それにしても・・・

 わたしは彼の絵を見ていると、中国絵画というよりむしろ、江戸中期に活躍した蕭白のような画家をイメージしてしまう。ただ、蕭白がいわば確信犯的に奇怪なイメージを画中に持ち込んで、商業的にも成功していたのに対し、彼の奇怪さは天然というか、身体の内側から自然ににじみ出てきたような趣がある。彼が仏法を厚く信仰していたことと、あるいはこれは関連するのかもしれない・・・かれは伝統的な中国絵画史ではアウトサイダーであって、長い間忘れられていたのだが、20世紀になって見直された人である。彼の絵はそれほど現代的だといえるのであろう。

どこで見るか

 まずはなんといっても上海博物館であろう。「山陰道上図巻」(1608年)は「見ないで死ねるか」とでもいうべき、「べきべき絵画」である。東京国立博物館の東洋館が2013年にリニューアルオープンした際に特別展が開かれ、この画が来日した。素晴らしかった!上海を訪れたら絶対に行くべきであろう。あるいは、この画を見に上海を訪れるべきか・・・ただ、東洋絵画であるから、いつでも見られるとは限らず、会えたら幸せといえる。ホームページをよくチェックしていかれることをすすめる。

 日本には橋本末吉氏が蒐集した800点に上る明清絵画のコレクションがあり、その中に「渓山絶人図」(1615年)という素晴らしい一幅がある。あとはお約束のメトロポリタン美術館、オハイオ州にあるクリーヴランド美術館、ハワイはホノルル美術館なども、中国絵画を熱心に集めており、呉彬の作品もある。

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