まだいた!中国絵画の個性派

 

 中国絵画には個性的な存在が、まだまだたくさんいる。知る人ぞ知る存在とでも言おうか・・・だが、わたしは知らない人にも知ってもらいたい。だってスゴイ人なのだから・・・というわけで、今回紹介するのは斉白石である。

どんな人か

 斉白石は1863年というから、幕末の日本が騒然としている頃に生まれ、1957年、日本が高度成長期に入ろうとする頃に亡くなった人である。つまりは激動の時代を生きた人である。揚子江の中流に洞庭湖という湖があり、その南を湖南省と呼ぶのだが、彼はそこで貧しい農家の子として生まれた。だから、ろくに学校にも行かず、12歳で大工の修行を始め、のちに指物の仕事をするようになった。そうした仕事を続けながらも、彼の中では絵画への欲求が育まれていたようだ。20代で絵を学び、篆刻を学ぶと、40代には、中国全土を旅していろいろな作品や風景を見て回った。55歳になって北京に落ち着き、画業に専念するが、なかなか作品は売れず、苦労したらしい。共産党政権になった中国は斉白石に暖かだった。晩年は北京中国絵画研究院院長を務めたり、人民芸術家の称号を送られたりした。

どんな画を描くのか

 山崎豊子の「不毛地帯」という小説に、主人公が政治家と待ち合わせている高級料亭の床の間に斉白石が掛かっていた、というくだりがある。政治家は女将に「相変わらず良いものを掛けているね」と声を掛ける・・・日本の数寄者の間では斉白石は珍重されてきたのだが、わたしはむしろ、普段現代絵画を好んで見るような人たちにこそ、彼の絵を見て欲しい。彼の絵は現代的なのだ。たとえばボストン美術館所蔵のデヴィッド・ホックニー作「ギャロービー・ヒル」(1998年)という画があるが、楽しそうにのたうち、うねる道路、無邪気に配された木立や畑はわたしには斉白石そのものに見える・・・またキース・へリングのすべての作品に見られる屈託のない線も、斉白石の線に思える。

 彼の代表作は「宋法山水図」(1922年 京都国立博物館)であろう。なんだ・・・この岩山たちは・・・ムーミンに出てくるニョロニョロみたいでコミカルである。一本一本の線、岩肌の塗り方もてらいがなく、じつに率直で、ゆえに現代的なのだ。まずは、じっさいにご覧いただきたい!

どこで見るか

 うれしいことに京都国立博物館がたくさん持っている。同館が所蔵する「須磨コレクション」というのがそれだ。昭和のはじめに須磨弥吉郎という外交官がいて、中国に赴任している最中に現地の政治家や画家を通して集めたものだという。もともと斉白石は、1922年に東京で開かれた「日華絵画連合展覧会」での作品が認められて世に出るようになったこともあり、日本との関わりは深いのだ。

 あとは北京の故宮博物院がいいものを持っている。私見だが、こと絵画に関しては、北京や上海も台北に負けず劣らずいい物を持っていると思うので、ぜひ一度足を運んでみて欲しい。

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