イチオシ!ルーベンス作品4つ

 

あまたあるルーベンス絵画の中でもイチオシと呼べるものは何であろうか。以前にも書いたが、ルーベンス工房にはじつに多くの弟子や協力者がおり、そこから生み出された作品は2000点とも言われ、今でも彼の作品には世界中の美術館でお目にかかることができる。だが、われわれの身体は一つ、眼はひとつがいしかないわけであるから、それらすべてを見るわけにはいかない。それで、できるだけ良いものから見たいということになり、他人の「イチオシ」が参考になるのである。わたしのイチオシは次の4つだ。

スザンナ・ルンデン

ロンドンナショナルギャラリーが所蔵するこの肖像画のモデルは、彼の二番目の妻、エレーネ・フールマンの姉だと言われている。ところどころ、褐色の有色下地が透けて見え、そこに施された青や赤のインパストが美しい・・・スザンナの白く、透き通った肌の表現は「これぞルーベンス」といえるもので素晴らしい出来栄えである。スザンナのかぶっている帽子や衣服に見える筆触もじつにのびのびとしていい・・・彼はいったいどんな筆を使っているのだろうか。

イザベラ・ブラント

あのウフィツィ美術館の所蔵する作品である。あんなにいいものをすでに持っているのだから、さらにこんないいものを持っていかなくてもいいじゃあないか・・・と、思わず言ってしまうほどの素敵な作品である。彼の最初の妻、イサベラ・ブラントを描いたものだ。ルーベンス48歳、イサベラ34歳の時のものだ。この時点で結婚して17年の時が経っているわけだが、妻にこんな表情をさせ、夫がこんな風に妻を描けるような・・・こんな結婚生活が送れたらどんなに幸せであろうか・・・そう思わせるような出色の肖像画である。

エレーネ・フールマンとその二児

悔しいがルーブルはやはりいいものを持っている・・・この絵が手に入るなら、わたしは自宅を手放してもいいとさえ思う。(到底わたしの自宅くらいの値段では買えないと思うが・・・)あのルイ16世が1785年、20000リーブルで購入したという。現在の日本円に換算すると、1000万円くらいであろうから、彼は良い買い物をしたと言えるだろう。ただし、4年後に彼を待っている運命を置いておくとしての話だが・・・愛くるしい男の子の表情・・・ルーベンスの長男フランツである。そして彼を見つめるエレーネの目!すばらしい目である・・・どうやったらこんな目が描けるのであろう。1636年、ルーベンス59歳の作である。

毛皮をまとったエレーネ・フールマン

ウィーン美術史美術館の所蔵する作品である。当時、ヌードの肖像画というのはなかったので、おそらくヴィーナスに見立てたものだと言われている。170年も後にゴヤがヌードの肖像画を描いているわけだが、ゴヤのものに比べてルーベンスのものはなんと健康的で明るいのであろう!エレーネの白く、柔らかな、豊潤な肉体と、まとった毛皮との対比が素晴らしい。エレーネはルーベンスの死後、再婚したのだが、彼から遺贈されたこの絵だけは大事に持っていたという。

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