もっと印象派を

もっと印象派を

日本人は印象派が大好きである。印象派関連・・・モネ、ルノアール、ゴッホらの展覧会場は常に観客が長蛇の列をなしている。場内はスゴイ人で、人の頭で絵など見えない。あまりの人気に、少しばかり美術をかじった人たちなどは、かえって印象派を馬鹿にして見にいかないほどである。

それでも・・・あなたは言うであろう。印象派、好きなんだもの・・・きれいなんだもの・・・・そう、わたしも大好きである。良いものは認めなければならない。

さて、そんな印象派が大好きなあなたに紹介しよう。

ヴュイヤールをご存知か?

じつはわたしも知らなかった。1978年、名古屋にサンパウロ美術館展がやってきて、そこで初めてヴュイヤールの作品を見たのだ。

「ビベスコ妃」というのがその作品で、当時は大きな絵だと思ったのだが、今、改めて調べてみると、112㎝×81㎝、つまり、P50号くらいの大きさである。今、公募展など見に行けば100号、200号の絵がごろごろしているわけであるから、どちらかといえば小型の作品ということになるであろう。でも大きな作品だと思ったのだ・・・大きく見える作品だったのだ・・・そして、実物よりも大きく見える作品は良い作品なのだ。

セピア色の明かりに照らされた室内・・・女性が両手を組み合わせてソファに座っている・・・でも、女性もソファもカーペットもランプも混然一体となって、一つの色の塊のようになって見える・・・そんな色の塊の中から、突然、青い絵の具が飛び出してくる。よく見ると、そこには窓があり、青い絵の具は窓外の風景なのだった・・・その青の鮮烈さに衝撃を受け、ヴュイヤールという難しい名前はとりあえず置いておいて、作品はよく覚えていたのだった。

それから十年ほどたって、わたしも少しばかり美術をかじり、印象派を馬鹿にするようになった。さらに十年が経過すると、少しばかり印象派を見直すようになって、ボナールの作品に魅せられ、後期印象派からナビ派のことなどを勉強するようになり、そこで改めてヴュイヤールに再会したのだった。

再会したヴュイヤールは素敵だった。すごいと思った。すごい人を見つけたと思った。だが、またまた十年して出かけて行ったグッゲンハイム美樹館で彼の作品がピカソやブラックのフロアのトップに掛けられているのを見て、知らないのはわたしだけだったのだと悟った。

さて、彼の絵を見るポイントをお知らせしておこう。彼は絵の具を筆に含ませてチョンと置く、いわゆる点描を行っているが、その点の重ね方をボナールのそれと比べてみてほしい。そして、筆をサーっと走らせる、いわゆるストロークの部分については、マティスのそれと比べてみてほしい。これは、彼が二人から影響を受けたのかもしれないし、あるいはその逆かもしれない・・・

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