モネの絵を3倍楽しむために

モネの絵を楽しくする3冊の本

横浜美術館でクロード・モネの展覧会が開かれている。

日本人はモネのことが大好きで印象派の展示などを見に行くと、モネの絵の周りにはいつも人だかりがしている。国立西洋美術館にはモネの画が常設展示されているし、そもそもレストランの名前が『睡蓮』だし・・・と、いまさらモネのことについてあれこれということはないようにも思える。

だが、画というのは不思議なもので、見るものの働きかけによってはいくらでも変わるものなのである。それは、必ずしも見る者だけのことではなく、見られる画そのもののことでもある。このことについては、語りだすと長くなるので、また別のところで述べる。

今回はモネの絵を見るにあたって、読んでおくと、掛け値なしにモネの画が3倍は楽しくなる本を紹介する。

まずは赤瀬川源平『赤瀬川源平の名画読本』(光文社1992年)である。モネの『日傘の女』が冒頭に登場する。ご存知の方もおられると思うが、赤瀬川源平さんは、れっきとした現代美術作家であり、現代美術の文脈では『千円札裁判』なども話題になった。後年、作家としても名を知られるようになり、芥川賞の受賞者でもある。

わたしは晩年の赤瀬川さんが好きだ。赤瀬川さん自身も語っているところだが、年をとってくると、思想や能書きなどはもうどうでもよくて、とにかく見て『おいしい』ものがよいのである。『老人力』などの著作もある赤瀬川さんは年のことを言っておられるが、わたしは年のことを置いておいても、美術作品は『おいしいかおいしくないか』で見るべきだと思っている。てらいのないところで、いわば『裸の』目でモネを見た赤瀬川さんの言葉は、われわれの眼をも裸にするであろう。

つぎは原田マハ『ジヴェルニーの食卓』。未熟なわたしが言うのもなんだが、著者はすごく勉強しておられるようだ・・・モネとそのパトロンオシュデ、そしてその妻アリス、アリスの娘ブランシュのことなどを良く調べていて、しかもそれをしっかりと咀嚼した後で、一個のお話、ストーリーとして実に読み応えのあるものに仕上げている。この本を読んだ後では、モネの壮年期から晩年の作品の見方が変わってくるはずである。ぜひ一読をお勧めする。

あとはアンリ・ペリュショ『セザンヌ』(みすず書房)。セザンヌの伝記だが、随所に印象派の画家たちのエピソードが散りばめられていて、こちらは逆に、モネの青年期から中年期にいたるイメージが血の通ったものとして立ち現れるであろう。少し長いしのだが、興味のあるところだけ拾い読みするだけでも十分に面白いはずである。

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